北陸数論セミナー過去の記録(2022年度)
- 第269回 (2022年12月1日(木),18:15~,金沢大学サテライトプラザ)
- 講演
- Kimball Martin 氏(University of Oklahoma)
- 講演題目
- Rationality fields of modular forms and genus 2 curves
- 概要
- Typically modular forms have large rationality fields, but those
with small rationality fields are of particular interest. For
instance, weight 2 newforms with degree d rationality fields
correspond to d-dimensional abelian varieties (elliptic curves when
d=1). I will discuss ongoing investigations with Alex Cowan about the
distribution of small rationality fields, with an emphasis on the case
d=2, which is closely related to counting genus 2 curves with real
multiplication.
- 第268回 (2022年11月10日(木),18:15~,金沢大学サテライトプラザ)
- 講演
- 小松亨 氏(東京理科大学)
- 講演題目
- 多胎単数について
- 概要
- 代数的整数全体からなる環 $O$ における単数全体からなる群を $U$ とする.
$U$ の元 $u$ に対し ある有理整数 $s\neq 0$ が存在し $u+s$も $U$の元のとき, $u$を多胎単数という.
例えば $1$ と $-1$ は多胎単数, 特に双子単数である.
2次体の単数に関して,
$(-3+\sqrt{5})/2, (-1+\sqrt{5})/2,(1+\sqrt{5})/2,(3+\sqrt{5})/2$
およびその2次共役はそれぞれ四つ子単数であり,
$\sqrt{-1},-\sqrt{-1}$は多胎単数でなく, それ以外の2次単数は双子単数である.
本講演は第205回(平成29年6月8日(木))の内容の続きであり,
3次巡回体における多胎単数についてお話しさせていただく.
- 第267回 (2022年10月20日(木),18:15~,金沢大学サテライトプラザ)
- 講演
- 平林幹人 氏(金沢工大)
- 講演題目
- Formulas for total stopping time
- 概要
- In 2019 Ruggiero gave a conjectural formula for total stopping time for aCollatz sequence of a natural number.
- In this talk, using two functions defined on positive odd integers, we give a formula for the length of the binary expression of a positive odd number. By this formula we can give a necessary and sufficient condition for the validity of the Collatz conjecture. Secondly, using some properties of the two functions, we give formulas for total stopping time for an odd integer, which could support the conjecture of Ruggiero.
- 第266回 (2022年7月28日(木),18:15~,金沢大学サテライトプラザ)
- 講演
- 吉田学 氏(富山高専)
- 講演題目
- 正標数局所体の全拡大の生成アルゴリズム
- 概要
- 剰余体が有限体である混標数局所体は拡大次数を固定すると有限個である。Pauli-Roblotはそれら全ての拡大の定義多項式を生成するアルゴリズムを与えた。一方、正標数局所体は拡大次数を固定すると無限個あるが、分岐を固定すると有限個である。本講演では、これらすべての拡大の定義多項式を生成するアルゴリズムを与える。Deligneによるtruncated discrete valuation fieldsの理論を用いて、異なる標数の局所体をswitchしてPauli-Roblotのアルゴリズムに帰着させる。(横山俊一氏との共同研究)
- 第265回 (2022年7月14日(木),18:15~,金沢大学サテライトプラザ)
- 講演
- 高梨 悠吾 氏(東京大学)
- 講演題目
- $p$進体上の$\mathrm{GL}_n$の内部形式の共役自己双対表現の偶奇性
- 概要
- $p$ 進体上の $\mathrm{GL}_n$ の離散系列表現のパラメータ付けの方法として局所 Langlands 対応と局所 Jacquet-Langlands 対応の 2 つがある. これらの合成写像は $\mathrm{GL}_n$ の内部形式の離散系列表現を離散 $L$- パラメータと呼ばれる Galois 表現に移す. 一方で自己双対な既約表現に対して, 表現が直交的か斜交的かによって偶奇性という不変量が定まる. 上の合成写像は自己双対性を保ち偶奇性を変換するが, Prasad と Ramakrishnan はこの変換則を計算しそれが非自明な規則であることを示した. 三枝はこの問題の共役自己双対類似を考え, 群と表現にある条件を課した下で偶奇性の変換則を計算した . 今回の講演ではこの共役自己双対類似の一般の場合について, Prasad と Ramakrishnan の大域化の方法の類似を用いた証明の概略を述べる.
- 第264回 (2022年6月2日(木),17:30~,金沢大学サテライトプラザ)
- 講演
- 原隆 氏(津田塾大学)
- 講演題目
- Raghuram-ShahidiのWhittaker周期のモチーフ論的解釈
- 概要
- 志村五郎,肥田晴三等によるモジュラー形式 (或いは GL(2) の保型表現) の標準周期の構成を拡張する形で,A. Raghuram と F. Shahidi は一般線形群 GL(n) の保型表現に付随する Whittaker 周期なる不変量を定義した.Whittaker 周期の積が GL(n+1) と GL(n) の保型表現に付随する Rankin-Selberg L関数の臨界値の超越部分を与えることは Raghuram 等によって示されているが,個々の Whittaker 周期は$L$関数の特殊値と直接は結び付かない.本講演では,基礎体が総実代数体またはCM体の場合に,Deligne の臨界値予想,GL(n) の保型表現に付随するモチーフの存在予想などの幾つかの基本的な予想の下でRaghuram-Shahidi の Whittaker 周期が付随するモチーフの (吉田敬之の意味での) 基本周期によって記述できることを解説する (並川健一 [東京電機大学] との共同研究).
- 講演
- 小林真一 氏(九州大学)
- 講演題目
- 非通常素点におけるCM楕円曲線の反円分岩澤理論と$p$進Beilinson公式
- 概要
- CM楕円曲線の岩澤理論は, 通常素点においてはCoates-Wiles等の歴史的な仕事もあり, 大変よく理解されているが,非通常素点においては未だに未知の部分も多い.
- 講演者らは最近, 非通常素点のCM楕円曲線の反円分岩澤理論において基本的であったRubin予想を解決した. またその応用として, この設定における$p$進Beilinson公式(特徴づけに使われてない点における$p$進$L$-関数の補間公式)の特別な場合を示すことができた. 本講演ではこの講演者らの仕事について概説する. この仕事は大阪大学の太田和惟氏とカリファオルニア工科大学のAshay Burungale氏との共同研究である.
- 第263回 (2022年4月21日(木),18:15~,金沢大学サテライトプラザ)
- 講演
- 木村巌 氏(富山大学)
- 講演題目
- Laxton群とその商群における平方根問題
- 概要
- $P$, $Q$を有理数として,3項間の線形漸化式 $w_{n+2} = P w_{n+1} - Q w_n$ を満たす数列のうち,
ある条件を満たすもの全体に「乗法」を定義することができ,アーベル群になる.
表題のLaxton群はこのアーベル群の,ある商群として得られるものである.
- 本講演では,Laxton群の元で平方になっているものに対して平方根を求めるという問題を扱う.
同時に,Laxton群の,素数ごとに定まる二つの部分群の剰余群においても同じ問題を考える.
それぞれ,2元2次形式での整数の表現,有限体の乗法群での平方根を求める問題に帰着される.
(富山大学大学院理工学教育部修士課程2021年度3月修了の新出勝則氏との共同研究).
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