北陸数論セミナー過去の記録(2023年度)

第278回 (2023年12月21日(木),18:00~,金沢大学サテライトプラザ2階集会室)
講演
小松亨 氏
講演題目
あるタイプの超楕円曲線の虚2次整数点の大きさについて
概要
平方ではない, 偶数次モニックな有理整数係数の多項式 $f(x)$に対し超楕円曲線 $C:y^2=f(x)$の虚2次体 $K$ 上の整数点からなる集合 $C(O_K)$ の和集合 $\displaystyle\bigcup_{K:\text{虚2次体}} C(O_K)$ が有限集合であることを, 初等的に証明できることを紹介する. また, 本成果と2022年の第268回での講演内容との関係についても説明する.
第277回 (2023年12月7日(木),18:00~,金沢大学サテライトプラザ2階集会室)
講演
小原まり子 氏(富山県立大学)
講演題目
A model structure on equivariant A-modules over a Hopf algebra
概要
Hopf代数の作用する加群のなす導来圏やそのホモロジー論はKhovanovやQiにより発展してきた。適当な条件の下、Hopf代数作用はChain複体の微分と対応する。Qiは導来圏を導入するにあたりcofibrant加群やcompact加群を定式化したが、Hopf代数の作用する加群のなす圏のモデル構造については言及されなかった。本研究では相対モデル構造を類似したモデル構造が入り、そのcofibrant対象がQiのcofibrant加群に一致することを示す。また、ChristensenとHoveyにより(DG) Chain複体の圏における相対モデル構造は一般にcofibrantly generatedではないことが知られているが、本研究におけるモデル構造はcofibrantly generatedであることを示す。
第276回 (2023年7月20日(木),18:00~,金沢大学サテライトプラザ2階集会室)
講演
中島匠一 氏(学習院大学)
講演題目
コラッツ予想に関する数値実験の報告
概要
コラッツ予想($=3n+1$ 予想)は、非常に素朴であるにも関わらず、未だに解決されていない不思議な主張です。 計算機による計算だけでは予想は解決できませんが、証明の手がかりが見つかることを期待して、数式処理ソフト Maple を利用して、折りに触れて、あれこれ「実験」をしています。昨年度の4年生のゼミで行った実験で、
  • コラッツ列の最大値の大きさ
  • コラッツ列の長さの分布の密度関数の様子
について面白い知見が得られたので、それを報告します。 (すべては「実験結果」であり、証明できたことは何もないため、内輪での報告とさせていただきました。)
第275回 (2023年7月6日(木),18:00~,金沢大学サテライトプラザ2階集会室)
講演
金堂優哉 氏(名大多元数理D1)
講演題目
Sophie Germain素数及び双子素数と一般Fibonacci数列との関係
概要
$2p+1$が素数であるような素数$p$をSophie Germain素数, $p+2$が素数であるような素数$p$を双子素数と呼ぶことにする. Sophie Germain素数や双子素数の分布はある程度予想されているが, 未だに無数に存在するかどうかが分かっていない. そのため, 別の手法によりそれらの素数を表現し, 新たなアプローチを模索する必要がある. 本講演では, 講演者の修士論文に基づき, Sophie Germain素数や双子素数を一般Fibonacci数列を用いて特徴付ける方法についてお話させていただく.
第274回 (2023年6月22日(木),18:00~,金沢大学サテライトプラザ2階集会室)
講演
木村巌 氏(富山大学)
講演題目
【論文紹介】P. Molin, A. Page, Computing groups of Hecke characters
概要
標記論文(Research in Number Theory, 8, 91 (2022). https://doi.org/10.1007/s40993-022-00396-9 )の内容紹介を行います.代数体$F$と,$F$におけるモジュラスが与えられたときに,そのモジュラスに対するHecke擬指標(quasi-character)と代数的Hecke指標の群の生成元を計算するアルゴリズムが主結果です.このアルゴリズムはすでにpari-gpに実装されているので,計算デモも予定しています.
(初出時,著者の一方の氏名を誤記していたので訂正しました(Mollin→Molin).2023/06/20(火)).
第273回 (2023年6月8日(木),18:00~,金沢大学サテライトプラザ2階集会室)
講演
SHIH-YU CHEN 氏(京都大学/JSPS)
講演題目
ALGEBRAICITY OF RATIOS OF SPECIAL VALUES OF RANKIN–SELBERG L-FUNCTIONS
概要
For consecutive critical values of Rankin–Selberg L-functions for $\mathrm{GL}_n \times \mathrm{GL}_{n′}$, we have the celebrated result of G. Harder and A. Raghuram on the algebraicity of the ratios when $nn′$ is even. As a different aspect of ratios of critical values, we consider ratios of product of different Rankin–Selberg L- functions at a fixed critical point. In this talk, we introduce our result on the algebraicity of the ratios under a regularity condition. As applications, we prove new cases of Blasius’ and Deligne’s conjectures on critical values of tensor product L-functions and symmetric power L-functions of modular forms.
第272回 (2023年5月25日(木),18:00~,金沢大学サテライトプラザ2階集会室)
講演
杉山真吾 氏(金沢大学)
講演題目
L関数の族の重み付き零点密度とランダム行列理論について
概要
講演者は近年, 「L関数の族の零点密度を記述する密度関数は,L関数の特殊値の重みを付けることで変化する」という現象を見つけた.対称べきL関数とDirichlet L関数の族の場合に最近気づいたことをお話しし,Katz-Sarnakの哲学に基づいてランダム行列理論との比較もおこなう.Dirichlet L関数の場合の研究はAde Irma Suriajaya (九州大学)との共同研究である.
第271回 (2023年5月11日(木),18:00~,金沢大学サテライトプラザ2階集会室)
講演
Alberto Minguez 氏(京都大学/University of Vienna)
講演題目
The explicit Zelevinsky-Aubert involution
概要
Let $F$ be a local non-Archimedean field. In 1980, A. Zelevinsky defined an involution pi -> pi^t in the Grothendieck group of finite length complex smooth representations of $\mathrm{GL}(n,F)$ and conjectured that this involution preserves irreducibility. A.-M. Aubert showed that Zelevinsky's definition can be extended to the Grothendieck group of finite length complex smooth representations of any connected reductive $p$-adic group $G$ and proved that the involution preserves irreducibility. In 1986, C. Moeglin et J.-L. Waldspurger gave an algorithm to compute the Langlands parameters of pi^t in terms of the parameters of pi in the case where pi is an irreducible representation of $\mathrm{GL}(n,F)$. In this talk I will treat the case where $G$ is the group $\mathrm{Sp}(2n,F)$ or $\mathrm{SO}(2n+1,F)$. It is a joint work with H. Atobe, and some work in progress with T. Lanard.
第270回 (2023年4月20日(木),18:15~,金沢大学サテライトプラザ2階集会室)
講演
木村巌(富山大学)
講演題目
Laxton群とLucasゼータ関数について
概要
線形斉次3項間漸化式を満たす,一般化されたLucas数列に対して定まるLucasゼータ関数については様々な研究がある.今回は,1つの線形斉次3項間漸化式を満たす数列の同値類からなるLaxton群の元に対してゼータ関数を定義し,ゼータ関数の特殊値がLaxton群の積に対してどのように振る舞うかを考察する.(2022年9月の三角函数研究集会での講演と内容重複します).

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