北陸数論セミナー過去の記録(2020年度)

第253回 (2021年3月4日(木),17:15~,金沢大学サテライトプラザ)
講演
地引芳紀氏(学習院大学大学院)
講演題目
実2次無理数の偶数連分数展開について
概要
実2次無理数の通常の連分数展開については、「連分数が純循環であることと実2次無理数がreduced であることが同値である」、といった性質が知られています。
連分数で部分商がすべて(正とは限らない)偶数であるものを偶数連分数と呼びます。本講演では偶数連分数と実2次無理数の間にも類似した性質があることについて、従来の連分数と比較しながら紹介します。
またMapleによる計算から興味深い現象が起こることも予想できるので、それらについての紹介もします。
第252回 (2020年12月17日(木)18:15~,金沢大学サテライトプラザ)
講演
石本宙氏(京都大学)
講演題目
重さ半整数のベクトル値ジーゲル保型形式に関する伊吹山予想の証明
概要
『重さ半整数のベクトル値で次数2のジーゲルカスプ形式のplus space』と『重さ整数のベクトル値で次数2のジーゲルカスプ形式の空間』の間にL関数を保つ線形同型がある、という伊吹山による予想がある。ArthurやGan-市野による保型表現の重複度公式を用いてこの予想の証明ができるので、これを紹介する。
第251回 (2020年11月19日(木)18:15~,金沢大学サテライトプラザ)
講演
色川怜未氏(東工大・学振)
講演題目
Stabilities for families of dynamics over non-archimedean fields
概要
Toward the understanding of bifurcation phenomena of dynamics on the Berkovich projective line over non-archimedean fields, we study the stability (or passivity) of critical points of families of polynomials parametrized by analytic curves. We construct the activity measure of a critical point of a family of rational functions, and study its properties. For a family of polynomials, we study more about the activity locus such as its relation to boundedness locus (or Mandelbrot set) and to the normality of the sequence of the forward orbit.
第250回 (2020年11月5日(木)18:15~,Zoomによるオンライン開催)
講演
小松亨 氏(東京理科大学)
講演題目
虚重2次体のイデアル類群の指数について
概要
2次体を2つ以上合成してできる体を重2次体(multiquadratic field)といい, 実数体に含まれない重2次体を虚重2次体という. 4重以上の虚重2次体の類数は偶数であることが知られている. 群 $G$ に対し $\#\{g^n | g\in G\}=1$ となる最小の正整数 $n$ を $G$ の指数(exponent)という. 本講演では, 拡張されたリーマン予想(ERH)の下で, 指数3, 5のイデアル類群をもつ 虚重2次体を具体的にすべて決定したので, その内容についてお話させていただく. なお本成果はJ. Klueners氏(Paderborn大学)との共同研究によるものであり, 共著論文はMath. Comp. に掲載予定である.
第249回 (2020年10月22日(木)18:15~,金沢大学サテライトプラザ)
講演
坂本龍太郎 氏(慶應大学・学振)
講演題目
階数0のKolyvagin系の構造定理とその応用
概要
MazurとRubinによって導入されたKolyvagin系はL関数とSelmer群の関係を理解するための道具である。本講演では、階数0のKolyvagin系の構造定理とmodular symbolを使った応用について紹介する。
第248回 (2020年10月8日(木)18:15~)
講演
若槻聡 氏(金沢大学)
講演題目
新谷二重ゼータ関数と平方剰余の相互法則
概要
新谷二重ゼータ関数とBlomerの二重ディリクレ級数の間に関係式があることが,Blomerの指摘によって判明した。その二重ディリクレ級数は平方剰余の相互法則に由来する関数等式を持っており,その関係式と合わせると新谷二重ゼータ関数の関数等式も導ける。今回の講演では相互法則に由来する関数等式について解説する。
第247回 (2020年7月16日(木)18:15~)
講演
平林幹人氏(金沢工業大学)
講演題目
Hasse, Bericht I の紹介 (Introduction to Hasse's Bericht I)
概要
In 1920 Takagi published a paper on class field, which gave an impulse in the community of number theory. In 1926 Hasse published a report on Takagi's results in his Bericht I (Report I) without precise proofs and next year he gave the precise proofs in Bericht Ia. In this talk we introduce briefly the content of Bericht I. We refer a temporary translation of Bericht I.
第246回 (2020年6月18日(木)17:30~)
講演
永野中行氏(金沢大学)
講演題目
複素鏡映群とK3 曲面の系列を用いた保型形式のモジュライ解釈
概要
格子偏極K3 曲面においてはトレリ型定理と周期写像の全射性が証明されているため、K3 曲面のモジュライを用いた保型形式の構成が可能なことがあります。
また、テータ関数は多くの良い性質を持つ関数で数学のあらゆる場面に現れますが、群の不変式と組み合わせると保型形式を与えることがあります。
今回は、複素鏡映群に関連するテータ関数を介して、格子偏極K3 曲面の系列における退化と、モジュライに対応する保型形式が明示的に関係することについて紹介します。
発表内容の一部には志賀弘典氏(千葉大) との共同研究の内容を含みます。

開始時刻がいつもと異なります.また,今回(246回)もZoomによるオンライン開催です.詳細は木村までお問い合わせください.

第245回 (2020年6月4日(木)17:30~)
講演
木村巌氏(富山大学)
講演題目
円分関数体の相対類数の漸近挙動について
概要
円分体の相対類数のある行列式表示に現れる $\pm 1$ 行列(成分が $1$ か$-1$ の正方行列)は,Hadamardの上界に近い巨大な絶対値を持つことが谷口哲也氏(金沢工大)により指摘されている.
本講演では,円分関数体での類似を考察し,標数が小さい場合は同様であること,標数が大きい場合は異なる現象が見られることを述べる.さらに,円分関数体の相対類数の漸近挙動に関するある結果を報告する.
本講演の内容は,青山大輝氏(富山大学大学院理工学教育部修士課程修了)との共同研究に基づく.前半の内容は JSIAM Lettersに報告した.

開始時刻がいつもと異なります.また,今回(245回)もZoomによるオンライン開催です.詳細は木村までお問い合わせください.

第244回 (2020年5月21日(木)17:30~)
講演
鈴木美裕氏(金沢大学)
講演題目
$\mathrm{GL}(2n)$の内部形式の表現と線型周期について
概要
$p$ 進体上の$\mathrm{GL}(2n)$の表現の線型周期とは, $\mathrm{GL}(n)\times \mathrm{GL}(n)$に関して不変な線型形式のことをいう. 0でない線型周期の存在とL関数の極の存在との関係について, これまで多くの研究がなされてきた. 特にMatringeは, 離散系列表現が0でない線型周期をもつことと, あるL関数が $s=0$ で極をもつことが同値であることを示した. 本講演では, この結果の内部形式への拡張を紹介する. Hang Xue氏 (University of Arizona)との共同研究.

開始時刻がいつもと異なります.また,今回(244回)はZoomによるオンライン開催です.詳細は木村までお問い合わせください.

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