北陸数論セミナー 過去の記録(平成28年度)

第200回 (平成29年2月23日(木)18:15〜)
講演
岩波 祥平 氏(首都大学東京 理工学研究科 数理情報科学専攻)
講演題目
Jakubec-Hirabayashi型行列式の一般化
概要
虚Abel体の相対類数の行列式表示について,代表的なものとしてMaillet行列とDemjanenko行列による表示があるが,2009年にJakubecは $p$ 分体($p$ は奇素数)における新しい型の表示を示し,2015年にHirabayashiが一般の円分体へ拡張した。今回はその結果をさらに一般の虚Abel体へと拡張した表示を得たので紹介したい。
第199回 (平成28年12月8日(木)14:30〜)
概要
若槻聡氏(金沢大)主催の「金沢数論ミニ集会2016」と共同開催です.詳しくはそちらの集会のwebをご覧ください.
第198回 (平成28年11月24日(木)18:15〜)
講演
伊藤 剛司 氏(千葉工大)
講演題目
非自明なpseudo-null部分加群を持たない馴分岐岩澤加群に関して(虚2次体上の場合)
概要
虚2次体上の$(\mathbb{Z}_p)^2$拡大の馴分岐岩澤加群が「非自明なpseudo-null部分加群を持つか否か」という問題に関して、これまで藤井俊氏との共同研究によって、多くの場合で「(それが非自明ならば)持つ」ことが確かめられている。しかしながら、「(非自明な馴分岐岩澤加群で)非自明なpseudo-null部分加群を持たないもの」の存在も判明したので、これについて報告したい。
第197回 (平成28年11月10日(木)18:15〜)
講演
谷口哲也 氏(金沢工大)
講演題目
円分体の相対類数の行列式公式の値の大きさと,その応用についての問題提起
概要
円分体の相対類数の行列式公式は,Demjanenko 行列,Maillet行列など 数多く知られている.これらの行列式の値は,ある一定範囲の値の係数をラン ダムに生成した行列式に比べて非常に大きくなることを講演者は数値実験にて 観察している.例えば,0-1成分のDemjanenko行列の場合に,Hadamardの不等 式の上限の約96%程度の桁数,平均からのずれでいえば標準偏差の4倍以上離れ た値であることが,数値実験により観察されている.
一方,実験計画法では実験効率を上げるために,$\pm 1$成分の行列式で 値が大きいものが求められている.しかし,行列式の値が大きな値となるよう な行列を構成する問題は自明ではない.たとえば,Hadamard 行列が一般の次 数 $4n$ でも存在するであろうというSylvester 予想は未解決である.
本公演では,Demjanenko 行列などの行列式の値が,ランダム に係数を生成し て配置した行列式の値の集合の中で,平均からのずれ具合,行列式の分布の状 況などを紹介し,行列式の値が大きくなるような行列の候補として,相対類数 の行列式公式が活用できる可能性を指摘したい.
第196回 (平成28年10月27日(木) 18:15〜)
講演
山下浩 氏(金沢大)
講演題目
実2次体のpartial zeta関数の$s=0$での値の計算 II
概要
類数1の実2次体上で導手が正整数$m$の射類群の射類に対するpartial zeta関数が$s=0$で取る値を新谷の方法により Pari/GP マクロプログラムによる計算を結果を紹介する.
第195回 (平成28年10月13日(木) 18:15〜)
講演
名古屋創 氏(金沢大)
講演題目
共形場理論とパンルヴェ方程式
概要
パンルヴェ方程式は超幾何関数や楕円関数を超えた特殊関数を定義するために20世紀初頭に導入された非線形微分方程式である. 楕円関数がテータ関数の比で表されるように, パンルヴェ関数もタウ関数と呼ばれる関数の比で表される. パンルヴェタウ関数の級数展開の明示的な表示については, 長い間未知であったが2012年に共形場理論の共形ブロックのフーリエ変換であるという興味深い発見があった. この発見とその後の発展について紹介する. 時間が許せばパンルヴェ(タウ)関数とモジュラー形式の関係についても話したい.
第194回 (平成28年8月4日 18:15〜)
講演
片岡武典氏(東京大学数理科学研究科)
講演題目
A consequence of Greenberg's generalized conjecture on Iwasawa invariants of $\mathbf{Z}_p$-extensions
概要
一般Greenberg予想は,代数体$k$の最大多重$\mathbf{Z}_p$拡大に付随する不分岐岩澤加群の擬零性を主張している.$k$が虚二次体の場合には,一般Greenberg予想を仮定すると$k$の多くの$\mathbf{Z}_p$拡大に付随する岩澤不変量がある意味で小さくなることが尾崎氏によって示されている.本講演ではその結果を一般の代数体$k$に部分的に拡張する.
第193回 (平成28年7月21日 18:15〜)
講演
当日参加者一同
講演題目
自由討論
概要
特定の講演者を決めず,当日の参加者で,討論を行います.
第192回 (平成28年7月7日 18:15〜)
講演
田坂浩二氏(愛知県立大学)
講演題目
2重ゼータ値の周期多項式関係式の精密化
概要
Euler-Zagierの2重ゼータ値で生成されるベクトル空間の次元と楕円カスプ形式の空間の次元の間に関係があることが知られている。この関係は、2重ゼータ値たちの間の線形関係式とカスプ形式の間の対応を示唆するものであり、Eisenstein級数などを用いて直感的に証明することができる。これに対し、Gangl-金子-Zagierは、周期多項式(カスプ形式のcritical valueの生成多項式)から2重ゼータ値の線形関係式を導くという、興味深い明示対応を与えている。この対応で得られる関係式のことを2重ゼータ値の周期多項式関係式と呼ぶ。
本講演では、Francis Brown氏により構成された深さ2の有理結合子や山本修司氏のt-多重ゼータ値などをkey wordに、2重ゼータ値の周期多項式関係式の精密化を議論する。
第191回 (平成28年6月23日 18:15〜)
講演
脇克志 氏(山形大学)
講演題目
The construction of maximal subgroups of $J_4$ by GAP
概要
散在型有限単純群 $J_4$の極大部分群の構成を具体例にして、GAPによる有限群の構成方法を紹介します。有限体上の行列やベクトルの定義、行列群の構成、ベクトル空間への作用による半直積、準同形写像を使った置換群への変換などを説明します。
第190回 (平成28年6月9日 18:15〜)
講演
木田雅成 氏(東京理科大学)
講演題目
ある中心拡大の Artin $L$関数について
概要
古田先生と久保田先生の1993年の論文に登場する有理数体上の中心拡大に対して,Artin $L$関数を計算し,分解法則を求める.(南村典彦との共同研究).
第189回 (平成28年5月26日 18:15〜)
講演
森山知則 氏(大坂大学)
講演題目
Modular forms constructed from $O(E_8,{\mathbf Z})$-invariant $E_8$-harmonic polynomials
概要
Let $Q\in M(m, {\mathbf Z})$ is a positive definite symmetric matrix. Starting from a $Q$-harmonic homogeneous polynomial $P$, we can construct an elliptic modular form $\theta_{Q}(z,P)$ of weight $k=\deg(P)+m/2$. It is readily seen that we do not lose any modular forms if we assume that the polynomial $P$ is invariant under the finite group $O(Q,{\mathbf Z})$. In this talk, we consider the case of $Q=E_8$ and report that the linear map $P\mapsto \theta_{Q}(z,P)$ is injective for $k\le 24$. This talk is based on Y. Funada's master thesis (2016, March) supervised by the speaker.
第188回 (平成28年5月12日 18:15~ )
講演
藤井俊氏(金沢工業大学)
講演題目
Some remarks on pseudo-null submodules of tamely ramified Iwasawa modules(千葉工業大学 伊藤剛司氏との共同研究)
概要
$p$を素数とする.総実体上の円分$\mathbf{Z}_p$拡大の不分岐岩澤加群は、常に有限であろう、という Greenberg 予想があり、これまでに多くの研究がなされてきた。
他方、近年、伊藤氏、水澤氏、尾崎氏らによって、円分的$\mathbf{Z}_p$拡大上の馴分岐岩澤加群の研究が進められてきた。馴分岐岩澤加群では、有理数体上であっても、Greenberg 予想の類似は成立しないことが既に知られている。
しかし、伊藤氏は、有理数体上の馴分岐岩澤加群に対して、Greenberg 予想よりも弱い主張、
馴分岐岩澤加群が非自明ならば、常に非自明な有限部分加群を含む、
が常に成り立つことを指摘した。
また、有限次代数体上の最大多重$\mathbf{Z}_p$拡大の不分岐岩澤加群は常に疑零であろう、という一般 Greenberg 予想がある。伊藤氏の指摘を踏まえて、一般 Greenberg 予想の弱い形の主張が馴分岐岩澤加群で成り立つか、という次の問題が考えられる:
問題.最大多重$\mathbf{Z}_p$拡大の馴分岐岩澤加群が非自明であれば、常に非自明な疑零部分加群を持つか?
本講演では、伊藤氏による有理数体上での指摘を含め、虚二次体上における上記問題に関するいくつかの結果についてお話ししたい。
本講演の内容は千葉工業大学 伊藤剛司氏との共同研究である。
第187回 (平成28年4月28日 18:15~ )
講演
若槻聡氏(金沢大学理工研究域)
講演題目
ジーゲル保型形式の次元公式
概要
まず一変数保型形式の基本的な事柄とその空間の次元公式について解説する.その後,ジーゲル保型形式の空間の次元公式について話す.
第186回 (平成28年4月14日 18:15~ )
講演
野村明人氏(金沢大学理工研究域)
講演題目
(2,2)拡大体上のガロアの逆問題の不分岐解について
概要
ガロアの逆問題とは,代数体$k$と群$G$が与えられたとき,$k$上のガロア拡大$L$で そのガロア群が$G$と同型なものが存在するか?という問題である。 $G$が有限$p$群の場合は,Scholz, Schafarevicにより肯定的に解決されている。 ガロア拡大$L/k$が不分岐に取れるとき,この拡大を逆問題の不分岐解という。
講演の前半では,関連する問題を概観し,後半では, $k$が2次体や有理数体上の(2,2)拡大で$G$が位数$p^3$の非アーベル$p$群の場合について考察する。
(3月5日の愛知数論セミナーでの講演とほぼ同じ内容です)

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