北陸数論セミナー 過去の記録(平成26年度)

第171回 (平成26年12月11日 18:15〜) 
講演   澤田伸晴氏(上智大学共同研究員)
    On modular representation theory for Hecke type algebras and extended Gauss sums
概要    In this talk, first, I'll explain "Hecke type" algebras associated with classical Iwahori-Hecke algebras. These algebras plays (or some of them are expected to play) very important roles in various representation theories (geometric, combinatorial and so on). Let R be a commutative domain with 1 and k be the characteristic of R. We call representations of an R-algebra over an arbitrary k modular. Namely, ordinal representation theories are included in modular ones. I'll give modular representations for these algebras in this talk.
   In the rest of the time, as an application, I'll introduce some natural generalizations of Gauss sums on these algebras by using their ordinary representations and modular ones.
第170回 (平成26年11月20日 18:15〜) 
講演   岸康弘氏(愛知教育大学)
    末尾急増型主要対称部分とその構成法について
概要   {1, \omega(d)}を実二次体$Q(\sqrt{d})$の標準的整数基底とします。我々の目的は \omega(d) の連分数展開の周期を使って実二次体全体を分類し、各周期ごとに実二次体の類数を調べることです。類数1の実二次体の探索のため、昨年6月の本セミナーにおいて、「末尾急増型(ELE型)主要対称部分」という概念の導入を行いました。今回は、ELE型主要対称部分の性質を述べ、さらにその構成法を述べたいと思います。
  なお、本研究は河本史紀氏(学習院大学)、鈴木浩志氏(名古屋大学)、冨田耕史氏(名城大学)との共同研究です。
第169回 (平成26年11月6日 18:15〜) 
講演   兵藤史武氏(早稲田大学)
     p進整数上のハイゼンベルグのリー環に付随するヘッケ環上の
        形式的べき級数のなす関係式について
概要   Grunewald,Segal,Smithによって特定の性質を持つリー環Lに対して、それに付随するゼータ関数がいくつか定義された。このなかに有限指数の部分リー代数によって定義されるゼータ関数がある。一方特定の性質をもつリー環にたいして、その自己凖同型と自己同型を考えることでヘッケ環R(L)を得ることが出来る。このゼータ関数はR(L)上のある形式的べき級数と関連付けられる。
  本講演ではLがp進整数上のハイゼンベルグのリー環のとき、このべき級数の性質について述べる。なおp進整数上のハイゼンベルグのリー環とは、p進整数係数の三次狭義上三角行列に自然なリー環構造が入ったものである。
第168回 (平成26年10月23日 18:15〜) 
講演   川島誠氏(大阪大学大学院博士課程3年)
        An approach via the formal Laplace transform to the irrationality
   of values of p-adic Riemann zeta functions
概要   F. Beukersは, p=2,3について, p進 Riemannゼータ関数の正の整数点に於けるある値たちの無理性を証明した.Beukersはそれらの証明をPade近似を用いて行った.Beukersによる証明に於いて, Pade近似の構成等のいくつかの主要な命題が計算機を用いて証明を与えられていた.
  本講演では, Beukersが計算機を用いて示した, 上記のいくつかの主要な命題に対して形式的Laplace変換を用いた証明を行う.
第167回 (平成26年10月9日 18:15〜) 
講演   浦野寛雅氏(早稲田大学大学院博士課程1年)
        素数導手のGalois表現に対応する重さ1のモジュラー形式のフーリエ係数
概要   2次元の既約な奇の複素線型表現には, 重さ1のモジュラー形式が対応することが知られている. このようなGalois表現は, 射影表現の像により, 2面体型, S_4型,A_4型, A_5型と分類されている.
  今回, 素数導手を持つS_4型のGalois表現を具体的に与え, 対応するモジュラー形式のフーリエ係数を数項計算した.
第166回 (平成26年7月24日 18:15〜) 
講演 山田泰久氏(金沢大学自然科学研究科、福井商業高校)
   マルコフ予想に関する考察(1)
概要    不定方程式 x^2+y^2+z^2=3xyz, x\leq y\leq z の自然数解をマルコフの3組という.最大数 z により,x, y が一意的に決まるというのがマルコフ予想であり,一般的には未解決である.例えば,z が p^m,2p^m (p:奇素数) の場合は,Baragar, Button, Schmutz などにより肯定的に解決されている.
 本講演では,2進数を元にマルコフデザイン,マルコフ行列を定義し,その性質を利用して z=p^m, 2p^m の場合の別証明を与える.さらに,他のケースへの適用可能性についても言及する.
第165回 (平成26年7月10日 18:15〜) 
講演 水澤靖氏(名古屋工業大学)
   実2次体のZ_2拡大と準二面体型2-類体塔
概要    総実代数体 k の円分Z_p拡大 K に対して、K の最大不分岐pro-p拡大のガロア群G を考えます。G の任意の開部分群のアーベル商は有限、と主張するGreenberg予想の下では、G は有限次代数体のp-類体塔のガロア群に似ているように見えます。
 任意の有限p-群はp-類体塔のガロア群として現れることが尾崎学氏により証明されていますが、そこから生じる問題 「任意の有限p-群は、G としても現れるか?」を動機として、p=2 のとき、k が実2次体ならば G は準二面体群とは同型にならないことを主結果としてお話します。
第164回 (平成26年6月26日 18:15〜) 
講演 木村巌氏(富山大学理工学研究部)
   重さ1のモジュラー形式とGalois表現の計算
概要    重さ1のモジュラー形式(Hecke固有形式)に対して,有理数体のGalois群の2次元複素表現が対応することはDeligne-Serre(1974)以来よく知られている.今回は,重さ1のモジュラー形式に対して,対応するGalois表現を具体的に計算するいくつかの手法について概観するとともに,Deligne-Serreの構成が実際に計算可能かを検討する.
第163回 (平成26年5月29日 18:15〜) 
講演 藤井俊氏(金沢工業大学)
  Z_p拡大における不分岐素点の有限分解性について
概要   pを素数とする。代数体の円分Z_p拡大において、p上の素点は全て分岐し、pの上にない有限素点は不分岐かつ有限分解であることが円分相互法則から確かめられる。
  セミナーでは、CM体の円分でないある種のZ_p拡大における不分岐素点の有限分解性について話をしたい。
  昨年度の本セミナーでは、虚アーベル体の一般Greenberg予想について話したが、上記の有限分解性によりCM体まで結果を拡張することができる。円分Z_p拡大の場合の復習から話す予定である。
第162回 (平成26年5月15日 18:15〜) 
講演 川田浩一氏(岩手大学)
   3乗数のWaring-Goldbach問題について
概要   例えば5個の素数の平方和とか,9個の素数の立方和など,ある決められた形の素数のべき乗の和として表せる自然数はどういうものか,といったことを考察する問題はWaring-Goldbach問題と称される.
  話の前半では,Waring-Goldbach問題のこれまでの研究の歴史と現状について,概要を簡潔に紹介し,後半ではとくに3乗数の場合に焦点を絞り,話者が最近得た結果を紹介させていただく.
第161回 (平成26年5月1日 18:15〜) 
講演 平林幹人氏(金沢工業大学)
  Hasse の方法による虚アーベル体の相対類数公式についてのいくつかの注意
概要   前回に話した、虚アーベル体の相対類数公式における行列 U_K は虚アーベル体 K で決まる不変量でないことを具体例で示す。(行列式 det U_K は K の不変量である。)また、行列 U_K の要素は 2 べき分体の整数にかぎらないことを注意する。
第160回 (平成26年4月24日 18:15〜) 
講演 谷口哲也氏(金沢工業大学)
    総当たりGCD計算の再帰による高速化について 2
概要  ここで問題とする計算は、大量の自然数たちの間のGCDを、すべての組み合わせに対して求める計算、すなわち総当たりのGCD計算である。
 総当たりGCD計算を素朴に実行すると、計算時間はデータの個数の2乗に大きく影響を受け、長大な時間がかかる。2013年10月17日の北陸数論セミナーでは「グループ化」の工夫を述べた。
 本講演では「グループ化」を再帰的に適用することでさらに計算効率が上げられることを報告する。
 なおこの計算は、p巾分体の相対類数に関するデータ解析の際に現れたものであり、学習院大学の中島匠一教授、茨城大学の市村文男教授との共同研究の一環として行ったものである。