北陸数論セミナー 過去の記録(平成18年度)
第62回(平成18年12月21日 18:15〜 ) | ||
講 演 1 | 山下 浩 氏(金沢学院大学) | |
CM体のp-adic map | ||
概 要 | 前回のアーベル体の場合に次のような内容の話をしました。 pを奇素数とする。pが不分岐である虚アーベル体Fの相対類群のp部分をガロア群Gの作用から群環Z_p[G]上の加群と考える。 部分環 (1-ρ)/2 Z_p[G](ρは複素共役写像)の任意のベキ等元eを作用させて得 られる相対類群の部分群の位数に対しても, 相対類数と同様の公式 v_p(# e Z_p\otimes Cl_F) = \sum_{\chi(e)\not=0 } v_p(L(0,\chi^{-1}) が成り立つことの証明について講演した。(v_pは加法的p進付値) e=(1-ρ)/2 の場合が相対類数公式に相当する。証明の方針は、この公式のもととなる公式をガウス和とp-adic mapsを利用してつくり, それを岩澤理論の主定理により変形することにより公式を得るというものでした。 これをCM体で考えるための準備として、CM体でのp-adic mapsとそれから定義されるZ_p[G]-latticeについてお話します。 |
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講 演 2 | 江上 繁樹 氏(富山大学) | |
類数と行列式(2) | ||
Carlitz-Olsonの一つの結果にデデキンド和を使って、相対類数の2乗を表した行列式がある。その類似として、デデキンド和もどきを使って相対類数そのものを表す行列式についての試みを述べる。 |
第61回(平成18年12月7日 17:30〜 ) | ||
講 演 | 林 彬氏 (金沢工業大学) | |
素数生成のための一次式に関する実験的検討 |
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概 要 | 暗号に使う大きな素数の生成について計算機実験した。すなわち単なる乱数を素数判定する場合とax+1という型の乱数を素数判定する場合の計算時間を比較した。もし試し割りを使わないなら後者のほうが数倍速くなる。しかし試し割りを使うとその効果はなく単なる乱数と変らない。ここでaとしてp#(素数階乗)を用いた。 |
第60回(平成18年11月16日 18:15〜 ) | ||
講 演 | 小松 亨氏 (九州大学COE研究員) | |
Non-Galois Eisenstein field with prime power discriminant |
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概 要 | 本講演では, 信州大学の花木氏によって与えられたいくつかの性質をもつ代数体の存在性問題について述べる。そしてその問題に対するある解,
特に存在性を具体的構成により示す。代数体に求められる性質はアソシエーションスキーム理論における議論から出てくるものではあるが, 代数的整数論の立場からも大変興味深い性質である。 |
第59回(平成18年11月2日 18:15〜 ) | ||
講 演 | 木村 巌氏 (富山大学) | |
二次体のζ関数の特殊値の(非)可除性について |
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概 要 | 二次体のζ関数、L関数の負の整数点での特殊値は、整数環のK群やetale cohomology群の位数と深く関係することが予想、ないし、証明されている。奇素数pを固定し、判別式を走らせたときに、ζ関数の負の整数点での特殊値の分子がpで割れないような二次体が無数に存在することを、いくつかの仮定の下で、Kohnen-Ono,
Byeonらの手法を用いて示す。そのほか、関連した話題についても触れる。 |
第58回(平成18年10月19日 18:15〜 ) | ||
講 演 | 平林 幹人氏 (金沢工業大学) | |
A determinant formula for the quotient of the relative class numbers of imaginary abelian number fields of relative degree 2 |
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概 要 | 虚アーベル体の相対類数は Maillet 行列式やDem'janenko 行列式などで表される。これらはパラメータを持った公式で一般化されている。End\^{o}
は、これまで、相対次数が2の2つの虚アーベル体の相対類数の比をMaillet 行列式やDem'janenko 行列式に対応した行列式で表している。 本講演ではこれらの公式をパラメータを持った公式で一般化する。 |
第57回(平成18年10月5日 16:45〜 ) | ||
講 演 1 | 加塩 朋和氏 (大阪市立大学数学研究所 COE上級研究所員) | |
On the p-adic absolute CM-period symbol | ||
概 要 | 吉田敬之教授はHecke L函数のs=0での一階微分値から新しい不変量「絶対CM周期」を定義した。これはCM周期と呼ばれる幾何的な不変量と一致すると予想される。L函数のTaylor展開での先頭項については盛んに研究が行われているが、吉田教授の研究は非先頭項にも数論的な情報が含まれていることの良い例である。 一方で講演者は吉田教授と共同でp進L函数に対して同様の研究をし、Gross−Koblitz公式の一般化となる予想式を得た。これはp進L函数の先頭項を表す式でありながら、絶対CM周期と同じく非先頭項の情報も含んでいる。特に、特別の場合にはp進周期と一致することを示した。ここで用いたp進周期はCM周期のp進類似となっている。 |
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講 演 2 | 千田 雅隆氏 (東北大学大学院理学研究科D3 ) | |
Hecke指標に付随するL関数と玉河数予想について | ||
概 要 | ゼータ関数やL関数の整数点での値については様々な公式や予想が知られています。例えば類数公式やBSD予想は重要な例になっています。これらの一般化のひとつとしてBloch-KatoやFontaine,
Perrin-Riouにより定式化された玉河数予想が知られています。 今回はこの予想の精密化であるBurns-Flachによるequivariant Tamagawa number conjectureを虚二次体のHecke characterの場合に考察し、得られた結果について講演させていただきます。特にHecke characterに付随するL関数の負の整数点での値と、あるcohomology群のGalois加群の構造との関係についての結果を紹介します。 |
第56回 (平成18年7月26日 18:10〜 ) | ||
講 演 | 岸 康弘 氏(福岡教育大) | |
2次体上に5次不分岐巡回拡大を与える多項式の族 | ||
概 要 | 有理数体上ですべての$D_5$拡大を生成するようなワンパラメータ(パラメータは4次体の元)の多項式を構成する。さらに、分岐の条件を考察して、2次体上で不分岐な5次巡回拡大となる族を与える。また、その結果から得られるフィボナッチ数と類数の可除性に関する1つの予想を紹介する。 |
第55回 (平成18年7月12日 18:15〜 ) | ||
講 演 | 木村 巌 氏(富山大学) | |
pari-gp入門編 | ||
概 要 | 数論向けの数値計算ソフトpari-gpを使って、代数体に関する具体例の計算の仕方を紹介します。Microsoft Windowsへのインストールから始めて、電卓代わりの計算、条件文やループ文を使うちょっとした計算、関数を定義して行う計算や、ファイル入出力あたりまで、時間が許す範囲で実演します。 |
第54回 (平成18年6月28日 17:10〜 ) | ||
講 演 | 中島 匠一 氏(学習院大学) | |
Maple 2題 ーーー 円内の格子点の作る図形と因数分解法の効率の比較 | ||
概 要 | 学習院大学には数式処理ソフトMapleのライセンスが導入されていて、学内で自由に利用できるようになっている。4年生のゼミでMapleを使って実験を行ったので、それについて報告する。 最初のテーマで扱ったのは「平面上の格子点を頂点とする正方形を集めた折れ線で囲まれた図形で、半径 r の円の内部にはいるものを考えたとき、その周の”折れ曲がり方”を調べる」という問題で、特に r を無限大にしたときの極限について考察した。Mapleを使って実験した結果を提示し、それから導き出した一般的結果(水谷 明 氏との共同研究)についても説明したい。 2番目のテーマである「因数分解法の効率の比較」は、純粋に数値実験の結果報告で、新しいものはない。具体的内容は、ポラード法とレンストラ法(楕円曲線法)の比較と、ポラード法に現れるパラメーターの設定を変えたときの効率の変化に関する数値実験である。 |
第53回 (平成18年6月8日 18:15〜 ) | ||
講 演 | 山下 浩 氏(金沢学院大学) | |
アーベル体の相対類群のχ-partとv_p(L(0,χ^{-1}) | ||
概 要 | pを奇素数とする。pが不分岐である虚アーベル体Fのp-Hilbert類体をLとする。円分Z_p拡大上のガロア群Gal(LF_\infty/F_infty)のp-primary
partのχ-partの組成列の長さをlとする。χが奇指標ならば、 (1) χ(p)=1でないならば、l=v_p(L(0,χ^{-1}) + v_p(1-χ(p)) (2) χ(p)=1ならば、l=v_p(L(0,χ^{-1})-v_p(n_{F/Z}) + E_χ が成り立つことを示す。n_{F/Z}はpの分解体上のFの次数である。しかし、「E_χ=0であるか」という問題については、それが正しいかは何もわかっていない。 いくつかの簡単場合について紹介をする予定です。 |
第52回 (平成18年5月25日 18:15〜 ) | ||
講 演 | 平林 幹人氏(金沢工業大学) | |
Determinant formulas for the relative class number of an imaginary abelian
number field |
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概 要 | p を奇素数とし,R'_p(a) で a の絶対最小剰余を表す.p と素な整数 a について a^{-1} で a の法 p での逆元を表す.前回までで行列式 det (R'_p(ab^{-1}))_{1 \leq a, b \leq (p-1)/2}, det ((-1)^{R'_p(ab^{-1})})_{1 \leq a, b \leq (p-1)/2} と p 分体の相対類数の関係を見た. 本講演では det ((-1)^{R'_p(ab^{-1})})_{1 \leq a, b \leq (p-1)/2} を虚アーベル体に拡張する. |
第51回 (平成18年5月11日 18:15〜 ) | ||
講 演 | 野村 明人 氏(金沢大学工学部) | |
分岐を制限した代数体の埋め込み問題の応用について | ||
概 要 | 分岐を制限した代数体の埋め込み問題の基本的な定理を紹介する。その応用としてある種の3次巡回体上にどのような不分岐 $3$ 拡大が存在するか考察する。 |
第50回 (平成18年4月27日 18:15〜 ) | ||
講 演 | 若槻 聡 氏(金沢大学理学部) | |
2次のベクトル値ジーゲルカスプ形式の空間の明示的次元公式について | ||
概 要 | 本講演では2次のベクトル値ジーゲルカスプ形式の空間の明示的次元公式について述べる。新たに得られた次元公式の応用や今後の目標についても解説する。 |