北陸数論セミナー 過去の記録(平成17年度)

第49回(平成18年2月9日  17:20〜 )
講  演 1  津村 博文氏(首都大学東京・数理科学)
   Witten zeta関数の関数関係式について
           (松本耕二氏との共同研究)
概  要 多重ゼータ関数の一系列である Witten zeta関数がD. Zagier によって定義されたが, その多変数版を構成しそれらの間の closed な関数関係式を導く.
特にここでは Lie代数 sl(n) に付随する Witten zeta 関数を考え、Zagier や Gunnells-Sczech の結果の一般化と見られる新しい公式を紹介する.
講  演 2  木田 雅成氏(電気通信大学)
       ノルム・トーラスのクンマー理論から得られる五次多項式の数論について
概  要 ノルム・トーラスの同種写像から誘導されるクンマー双対から得られる巡回多項式の計算と、その多項式によって定義される体の数論についてお話しします。
特に例として、有理数体上の5次巡回多項式をとりあげ、分解法則等について調べます。また Lehmer の五次方程式との関連についても述べる予定です。

第48回(平成17年12月22日 )
講  演  平林 幹人氏(金沢工業大学)
   「虚アーベル体の行列式による相対類数公式」の補足
講  演  江上 繁樹氏(富山大学工学部)
       相対類数と行列式


第47回(平成17年11月24日 )
講  演 平林  幹人氏(金沢工業大学)
   虚アーベル体の行列式による相対類数公式
概  要  $p$ を奇素数とする.$p$ と素な整数 $a$ について,$a^{-1}$ を$a$ の法 $p$ の逆元とし,$R_p(a)$, $R_p'(a)$ をそれぞれ,$a$ の法 $p$ の最小正剰余,絶対最小剰余とする.Kanemitsu とKuzumaki は $\det ((-1)^(R_p'(ab^{-1}))_{1 \leq a, b \leq (p-1)/2}$が $4p$ 分体と $p$ 分体の相対類数の商を表すことを示した.
 本講演では $\det ((-1)^(R_p(ab^{-1}))_{1 \leq a, b \leq (p-1)/2}$ が $p$ 分体の相対類数を表すことを示し,その公式を一般の虚アーベル体まで拡張する.

第46回(平成17年11月10日 )
講  演 小松  亨氏(九州大学COE研究員)
   A criterion for genericity of a cyclic polynomial
概  要  生成的多項式に関する研究において, パラメトリックな多項式が生成的であるかを調べる一般的な判定方法はまだ知られていない。現在判定できている場合は実質的には多項式の再構成によるものだけである。
本講演では, パラメトリックな巡回多項式が生成的である為の条件を与え, その条件を判定する計算方法を述べる。

第45回(平成17年10月27日)
講  演 上田 勝氏(奈良女子大学)
  Representations of finite metaplectic groups on the space of cusp forms of half-integral weight
概  要   主合同群に関する半整数ウェイトのカスプ形式の空間上に,有限メタプレクティック群の表現を自然に構成することができる.特に $\Gamma_0(N)$ に関するカスプ形式から生成される表現の既約分解とその判定法について解説し,応用としてPlus空間の表現を用いた特徴づけや,ニューフォーム理論やフーリエ係数の非零性との関連などを述べる.

第44回(平成17年10月13日)
講  演 谷口 哲也氏(東京理科大学)
   Inkeriの類数公式の応用
概  要   円分体における Inkeri の類数公式を利用して Stickelberger Ideal の基底と相対類数の因数について議論する.

第43回(平成17年7月28日)
講  演 平林 幹人氏(金沢工業大学)
  2個のパラメ−タを持つ虚ア−ベル体の相対類数公式について
       ―― End\^{o} の結果の紹介
概  要   2003年、End\^{o} は2個のパラメ−タを持った行列式を一般ベルヌイ数で表した。これらは虚ア−ベル体の相対類数の公式を与えている。本講演では、これらの相対類数公式とこれまで得られている公式の関係について述べる。

第42回(平成17年7月13日)
講  演 1 木村 巌氏(富山大学理学部)
  2次体のゼータ関数の特殊値の可除性・非可除性についての問題
概  要   2次体のゼータ関数・L関数の負の整数点での値は、イデアル類群の一般化であるようなコホモロジー群の位数と深く関連する.これらの値の可除性、非可除性について、考察中の問題や、考察したい問題などをレビューしたいと思います.
講  演 2 江上 繁樹氏(富山大学理学部)
  Diopantus近似に関連したDirichlet級数
概  要  1923年に書かれたひとつの論文で、Hardy-Littlewoodは [an](aは無理数)を係数にもつDirichlet級数の研究を行った。この一部を簡単に解説し、関連する一般化の試みと問題を述べる。


第41回(平成17年6月29日)
講  演 山下  浩氏(金沢学院大学)
  On a refined formula of the relative class number of an imaginary abelian field
概  要 虚アーベル体の相対類群のp部分をガロア群の作用により,Z_p上の群環上の加群と考える。群環のベキ等元を作用させて得られる部分群の位数に対しても,もし,pが奇素数で分岐していないならば,相対類数公式と同じ公式が成り立つことについてお話しします。

第40回(平成17年6月15日)
講  演 中川 仁 氏(上越教育大学)
  3元2次形式のペアと4次体の整環
概  要 整数係数の3元2次形式のペアに対して,4次体の整環を対応させる.この対応によって,4次体の整環はすべて得られることを示す.

第39回(平成17年5月26日)
講  演 谷口 隆 氏(東京大学数理科学研究科 研究拠点形成特任研究員)
  k形式の概均質ベクトル空間のゼータ関数と関連する密度定理
概  要

第38回(平成17年5月12日)
講  演 青木 美穂氏(東京工業大学 学振特別研究員(PD))
  岩澤加群と代数体の整数環のK群について
概  要 岩澤加群の商と代数体の整数環のK群を結びつけるChern map の同型(Quillen-Lichtenbaum conjecture)を認め、代数体の整数環のK群に関して考察する。特別な場合にはK群の位数がlocal unitsにおける円単数又はGauss和のの指数と一致することを紹介し、(プラスパートはMazur-WilesとGillardの結果、マイナスパートは八森-市村両氏の岩澤加群の商に関する結果を用いる)一般の場合に関し得られている結果について話す。

第37回(平成17年4月21日)
講  演 山下 浩氏 (金沢学院大学)
  ガウス和の生成するlatticeと相対類数について II
概  要 虚アーベル体の相対類群のp-primaty part(pは奇素数)をべき等元で分解した場合にも、pが不分岐であれば、相対類数公式が細分化された形で成立つことをガウス和から生成されるlatticesを用いて証明する。Mazur-Wilesによる"Conjecture of Leopoldt and Iwasawa"(Greither)の証明方法を改良した。