北陸数論セミナー 過去の記録(平成16年度)

第36回(平成16年11月25日)
講  演 小松  亨(学振PD,東京都立大学理学研究科)
 生成的多項式の代数体への応用について II
概  要 前回(昨年)の講演では生成的多項式の数論的問題(代数体への応用、部分体問題や分岐群問題)を提示し、陸名氏の巡回多項式の場合にこれらの問題のある解を与えた。今回は陸名氏の巡回多項式から二面体群多項式を構成し、この二面体群多項式に関して数論的問題の解決を紹介する。

第35回(平成16年11月11日)
講  演 成田  宏秋(学振特別研究員,京都産業大学)
 Theta lifting from elliptic cusp forms to automorphic forms on Sp(1,q)
概  要 保型形式の具体的な構成方法の一つとして、テータ級数による方法があるが、これは表現論的に定式化されている。即ち、いわゆる「Weil表現」を用いて作られるテータ級数とある具体的に与えた保型形式との畳み込みを考えることで所望の保型形式を構成するという方法で、「テータリフティング(Theta lifting)」と呼ばれる。
 本講演では荒川恒男氏が定式化した、楕円(尖点)モヂュラー形式から符号(1,q)のシンプレクティック群Sp(1,q)上の保型形式へのテータリフティングについて考える。荒川氏はq=1のときに、リフト像がいわゆる「四元数離散系列表現」を生成する保型形式になっていることを示しているがq>1の場合は証明していない。しかし最近、そのリフト像を更にフーリエ級数表示に書き直すことで、このことが任意のqについて成り立つことを証明できた。それについて報告したい。

第34回(平成16年10月28日)
講  演 江上 繁樹 (富山大学工学部)
     素数に付随する2重ゼータ関数
            (松本耕二氏との共同研究)
概  要

第33回(平成16年10月14日)
講  演 山下  浩(金沢学院大学)
    ガウス和の生成するlatticeと相対類数について
概  要 一昨年3月の北陸数論セミナーで話しました相対類数のp部分の公式について、拡大次数がpで割りきれるアーベル体の場合に ガウス和で作られるlatticeを使っての証明を紹介します。

第32回(平成16年7月8日)
講  演 野村 明人(金沢大学自然科学研究科)
   ある種の不分岐p拡大の存在について
概  要 pを奇素数とし、E(p^3)を位数がp^3で指数がpの非アーベル群とする。講演者は、以前2次体上にE(p^3)をガロア群に持つような不分岐拡大が存在する条件を与えた。今回は、この結果に対するLemmermeyerのアプローチおよび拡張について紹介する。

第31回(平成16年6月24日)
講  演 平林 幹人(金沢工業大学)
    Girstmair の公式の一般化
概  要 前回紹介したように,1994年 Girstmair は虚2次体${\bf Q}(\sqrt{-p})$ (p:素数, p \equiv 3 (\mod 4), p \geq 7)の(相対)類数を, $1/p$ を $1/g$ ($g$:$\mod p$ の原始根)のべき級数展開の係数で表した.翌年,彼はその類数を,整数 $z, 1 \leq z \leq p-1$ と $b, b \geq 2$ をとり,$z/p$を $1/b$ のべき級数展開の係数で表した.ただし,この係数の周期を $(p-1)/2$ とする.
 本講演では,この後半の公式を$p$ べき分体の任意の虚部分体まで拡張する.さらに両方の公式を一般の虚アーベル体まで「延長する」.また,これらの公式とこれまでの公式の関係を見る.

第30回(平成16年6月10日)
講  演 川越 謙一(金沢大学自然科学研究科)
    q-analogue of the Reimann zeta function and its related topics 
    ( 山崎義徳氏(九州大学)、若山正人氏(九州大学)との共同研究 )
概  要
ゼータ函数の q 類似は今までもいくつか研究されてはいるが、真の意味では q 類似とはなっていなかった。 今回の結果は q を1にもっていった時、全平面でもとのゼータ函数に収束するような必要十分条件を求めた。さらにいくつかの数値計算を行い、リーマン予想のq 類似を考察した。

第29回(平成16年5月27日)
講  演 山田 美枝子(金沢大学自然科学研究科)
    ガロア環上のガウス和、ヤコビ和
概  要 標数が4であるガロア環上にガウス和、ヤコビ和を定義し、その値や関係式を紹介する。また、これらの組合わせ数学への応用、特に、差集合、距離正則有向グラフの構成に、どのような役割を果たしているかについても触れたい。

第28回(平成16年5月13日)
講  演 木村 巌(富山大学理学部)
     2次体のDedekind zeta関数の特殊値の可除性・非可除性といくつかの応用 
概  要 Byeon (Acta Arith. 89 (1999), no. 3, 295-299)により、奇素数pを固定したとき、Dedekind zeta関数の-1での値の分子がpで割り切れないような実二次体が無数に存在することが示された.本講演の前半部分では、そのような実二次体については、円分Z_p拡大の各中間体についても、同様の非可除性が成立することを注意した.後半部分では、p=3, 5の場合に、Dedekind zeta関数の-1での値の分子が3, 5で割り切れるような実二次体が無数に存在することを述べた.
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第27回(平成16年4月22日)
講  演 吉野健一(金沢医科大学)
      3次巡回体の単数群と類数  
概  要  平成14年度の講演で3次巡回体の単数群の基本単数系の求め方の話をしたが、今回はHasse以後、その求め方がどうなっていったか、および3次巡回体の類数が偶数になる条件を紹介する。そして、別のいくつかの3次巡回体の系列が偶類数をもつこと例示する。