北陸数論セミナー 過去の記録(平成15年度)
第26回(平成15年12月18日) | ||
講 演 | 長岡昇勇氏(近畿大学理工学部) | |
いくつかのモジュラー形式の持つ p進的な性質について | ||
概 要 | セールは1970年代モジュラー形式の持つ p進的を調べ様々な理論に応用した(今年5月の「北陸数論セミナー」における木村氏の講演で紹介された)。 セールの理論は既に古典的な結果のひとつであるが、これが多変数のモジュラー形式の場合どう拡張されるかについて概観的解説がなされた。 |
第25回(平成15年11月20日) | ||
講 演 | 小松 亨( 東京都立大学・学振特別研究員) | |
生成的多項式の代数体への応用について | ||
概 要 | 生成的多項式の代数体への応用を試みる際、部分体問題や分岐群問題と呼ばれる問題が自然に考えられる。これらの問題は生成的多項式の特殊化問題と呼ばれ、生成的多項式の実用化において大変重要である。今回は陸名氏の巡回的多項式の場合に特殊化問題のある解を与えたので紹介する。特に部分体問題の解決により「2次降下クンマー理論」が得られる。また分岐群問題の研究におけるある一考察から「至る所生成的な多項式」が構成できる。 |
第24回(平成15年11月6日) | ||
講 演 | 門田智則 ( 京都産業大学理学研究科博士後期課程数学専攻) | |
On Product of Theta Series with Spherical Harmonics and Eisenstein Series |
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概 要 | $k$ を正の整数, $\omega$ を mod $4$ の Dirichlet 指標とし, level $4$, weight $k$ の指標 $\omega$ 付き cusp forms の空間を考える. この空間には, Atkin-Lehner operator と呼ばれる作用素が作用している. この講演では, Atkin-Lehner operator の各固有空間が,Eisenstein 級数と theta 級数の積により, Hecke 加群として生成されることを証明する. 証明は, Rankin-Selberg convolution と 局所 Whittaker 関数の研究に基づく. |
第23回(平成15年10月2日) | ||
講 演 | 小山 陽一(金沢工業大学) | |
代数的数の $\ell$ 乗根の定義方程式を求めるアルゴリズム | ||
概 要 | 吉野氏(金沢医科大)と共同で研究を進めている円分体の類数計算の中で「ある代数体の単数の
$\ell$ 乗根がまた同じ代数体に入るか」という判定が必要であった.そのために,元の単数の定義多項式からその単数の
$\ell$ 乗根の定義多項式を求めればよいのであるが,それを効率よく求めるアルゴリズムが見つかったので紹介した.($\ell$
は奇素数) |
第22回(平成15年7月17日) | ||
講 演 | 平林 幹人(金沢工業大学) | |
Girstmair の公式と虚アーベル体の相対類数公式の一注意 | ||
概 要 | 1994年に Girstmair は虚2次体 ${\bf Q}(\sqrt{-p})$ (p:素数, p \equiv 3
(\mod 4), p>6) の相対類数を, $1/p$ を $1/g$ ($g$:$\mod p$ の原始根)
のべき級数展開したときの係数で表した.この公式は, 講演者の98年の公式で,パラメータ
$b$ を $g$ にしたものになっている.さらにこの公式は,$p$ べき分体の任意の虚部分体に拡張される.この拡張された式から,以下の
$T =\tilde{T}$ の例が作れる. 以前の講演で,導手 $m$ の虚アーベル体 $K$ の相対類数公式を表す行列 $T$ と,$m$ の倍数 $\tilde{m}$ を取って,$K$ を $\tilde{m}$ 分体の部分体として作る公式の行列 $\tilde{T}$ が関連があることを述べた.本講演では,ある条件の下で $T =\tilde{T}$ となることを紹介した. |
第21回(平成15年7月3日) | ||
講 演 | 内山 成憲(NTTプラットフォーム研究所) | |
素因数分解の最新の話題について | ||
概 要 | 1977年のRSA暗号の提案以来、公開鍵暗号の安全性の研究と素因数分解アルゴリズムの研究は、密接な関係を保ちながら発展して来た。ここでは、素因数分解問題についての基本的なことからはじめて、代表的な素因数分解アルゴリズムである、数体ふるい法と楕円曲線法について、通常、教科書等では詳しい説明が省略されがちな計算量評価なども含め、詳しく解説した。また、関連する最新の話題についても触れた。 |
第20回(平成15年6月19日) | ||
講 演 | 江上 繁樹(富山大学工学部) | |
楕円Dedekind和とあるJacobi形式 | ||
概 要 | 私(江上)が1996年に定義した楕円Dedekind和のAdelmejid Bayadによる一般化(Ann.
Inst. Fourier, Grenoble (2001))およびZagierが導入したmeromorphic Jacobi
form の紹介を行った。 |
第19回(平成15年6月5日) | ||
講 演 | 津村 博文(東京都立短大) | |
多重ゼータ値の Reduction について | ||
概 要 | 「深さと重さのパリティが異なる多重ゼータ値は、それよりも低い深さの多重ゼータ値達の有理数係数多項式であらわされる」という命題について報告した。 深さ2の場合は Euler自身によって示唆され、その後明示的な公式も得られている。深さ3の場合は Borwein-Girgensohn(1996)によって示され、一般の場合が予想されていた。この講演では、一般の深さについての上記命題の証明について報告した。 |
第18回(平成15年5月15日) | ||
講 演 | 千田 雅隆(東北大学理学研究科M2) | |
楕円曲線のツイストとそのランクについて | ||
概 要 | 有理数体上の楕円曲線Eに対してE(d)を整数dによるEのquadratic twistとする. このときSilvermanはE(p)またはE(-p)の有理数体上のrankが0となるような素数p が無限に存在すると予想した. OnoとSkinnerはconductorが100以下の楕円曲線E についてこの予想が正しいことを示した.同様の問題を2次体上のrankに対して考 え, 実際にこの予想が成り立つ例を紹介した. |
第17回(平成15年5月1日) | ||
講 演 | 木村 巌(富山大学理学部) | |
p進モジュラー形式(Serre流)の紹介 | ||
概 要 | Goren, E. Z., Lectures on Hilbert Modular Varieties and Modular Forms, CRM Monograph Series vol.14, AMS, 2002のchapter 4を主に参考にして、Serre流のp進モジュラー形式の理論の概略を紹介した. |
第16回(平成15年4月17日) | ||
講 演 | 伊藤 俊次(金沢大学工学部) | |
力学系の周期点の代数的特徴付け | ||
概 要 | 準備中 |